Blender、3Dモデリングとアニメーションの世界で広く使われているソフトウェア、は長い期間3.xのバージョンを続けてきましたが、ついにその時代に幕を下ろし、新たな4.0時代の幕開けを迎えました。この変化は、Blenderの進化の重要な節目を示していますが、面白いことに、Blenderはその開発歴の中で、各バージョンアップごとに非常に大きな変更を加えることで知られています。このため、Blender 4.0へのアップデートが、他のソフトウェアのメジャーアップデートに比べて、特別大きな変更を含むわけではないという部分もあります。

しかし、これはBlenderのアップデートの方針を考慮すると理解しやすい点です。なぜなら、Blenderでは通常のマイナーリリース(小さなバージョンアップ)でも、他のソフトウェアのメジャーアップデート(大きなバージョンアップ)に匹敵するほどの新機能や改良が加えられることが多いからです。このアプローチは、Blenderが常に最先端の技術と機能をユーザーに提供し続けるという強いコミットメントを反映しています。その結果、Blenderの各バージョンは、ソフトウェアとしての成熟度を高め、ユーザーにとってより使いやすく、機能的なものになっているのです。Blender 4.0は、この継続的な進化の最新のステップであり、3Dモデリングとアニメーション業界におけるBlenderの地位をさらに固めるものと期待されています。

VCI制作に役に立つ4.0で強化された機能

スナッピング機能

Blender 4.0では、多くの機能強化が行われていますが、特に目を引くのは、スナッピング機能の改善です。スナッピング機能自体は以前のバージョンから存在していましたが、4.0ではこの機能がより使いやすくなり、操作性が向上しました。

具体的には、4.0バージョンからは、トランスフォーム処理中に[B]キーを使用することでスナッピング操作が簡単かつ迅速に行えるようになりました。この改善により、ユーザーはモデリングやアニメーション作業中にスナッピング機能をより直感的かつ効率的に利用できるようになります。たとえば、オブジェクトの位置や形状を正確に調整する際、[B]キーを押すだけで、即座に必要なスナッピングオプションをアクティブにできるようになったのです。

2023-12-20_21-00-27.gif

以前のバージョンでは、ユーザーは一度に一種類のスナッピング方式のみを使用することが可能でした。たとえば、オブジェクトや頂点を他のオブジェクトやグリッドに合わせる際に、頂点へのスナッピングか、辺へのスナッピングなど、一つの方法を選択しなければなりませんでした。

しかし、Blender 4.0では、このスナッピング機能が大幅に強化され、複数のスナッピング方式を同時に選択して使用できるようになりました。この改善により、例えば、ユーザーは頂点と辺の両方にスナッピングを適用することが可能になりました。これは、モデリングプロセスをより柔軟かつ効率的にする大きな進歩であり、ユーザーがより精密で複雑な形状を、より簡単に作成できるようになります。

Untitled

Blender 4.0で向上したスナッピング機能は、特にVR建築やアイテムの作成など、精密な3Dモデリングが求められるシナリオにおいて、大変役に立ちます。この新しいスナッピング機能を利用することで、ユーザーは以前に比べてより簡単に、かつ迅速にこれらのタスクを行えるようになりました。

ジオメトリノード

Blender 4.0では、ジオメトリノード機能が大きく進化し、新たな可能性を秘めています。ジオメトリノードは、3.6バージョンの頃から存在する機能で、3Dオブジェクトのジオメトリ(形状や構造)を操作するためのノードベースのシステムです。このシステムは、複雑な形状やパターンの生成、動的なモデリング変更など、多岐にわたる用途に利用されてきました。

4.0バージョンにおける注目すべき進化は、ジオメトリノードを使用してカスタムツールを作成できるようになった点です。この変更により、ユーザーはジオメトリノードを用いて、特定の作業やプロジェクトに特化した独自のツールや機能を開発できるようになります。これは、Blenderのカスタマイズ性と拡張性を大きく向上させるものであり、ユーザーが特定のニーズに合わせてソフトウェアを調整できるようになることを意味します。

現在、4.0におけるジオメトリノードを使用したツールの数はまだ多くはありませんが、この新しい機能は今後の発展が非常に期待されています。デベロッパーやクリエイターがこの新機能を活用して、より多様なカスタムツールを開発し、Blenderコミュニティに提供することで、Blenderの機能範囲はさらに広がり、多くのユーザーがその恩恵を受けることになるでしょう。

VCI作成に便利なアドオン

Collider Tools

Collider Tools

Collider ToolsはコライダーをBlenderで作成するためのツールです。このツールを使うと、コライダー用のオブジェクトが作成されるので、それを含めたモデルをFBXで出力し、Unityでコライダーのオブジェクトに対してコライダーを設定した上で、Mesh Rendererを作成することができます。

分割したコライダーなども作成できるため、モデルに近い部分でコライダーのデザインをしておきたい、という場合に非常に便利です。